これまで、私はBRTに反対する理由をこのブログで挙げてきた。しかしBRTの利便性については、触れてこなかったと思う。今章からは、少しそれについて語っていこう。その内、今回は最大のメリットである本数について詳述していきたい。
私が初めてBRTで仮復旧した時、一番驚いたのが
運行本数の多さであった。最初は何かの間違いじゃないかと、強く思った程だ。特に本吉限定で見れば震災前は一日に12本だったのに、今は31本である。2時間待ち当たり前が、30分待ちに短縮である。これは確かに凄い!!
幸運にもこれに関して、話を聞く事が出来たので掲載しようと思う。
先日の7月14日(日)、私はまた気仙沼に行く用が出来たので気仙沼線のBRTに乗っていた。
結構観光客が来ていて、バスでは立ち席の人もチラホラと見かける状態であった。
そんな時、私は前に立っていた気仙沼高校の生徒とさり気なく会話を交わす事になる。
話をしていく内に気仙沼線の話になったので、私は今の気仙沼線の在り方について聞いてみる事にした。
なお大事な部分に下線を引いておく。
私 「BRTが出来て、やっぱり便利になりましたか?」
高校生「便利になりましたね。」
私 「でもやっぱり電車に比べると不便でもあるでしょ?」
高校生「
いや、自分、今一年なんで、電車は乗ったことないんですよー。」
私 「あっ、そうなんですか・・・。」
高校生「でも不便だと思った事は、そんなにないですね。強いて言うなら自分志津川なん
で、全部のバスが志津川まで行ってくれるといいんですけどね。」
私 「確かにバスの半分は本吉で終りですからね。」
高校生「そうなんっすよ。」
私 「
もし今電車に戻されたら、本数は間違いなく減りますよね・・・。」
高校生「
それはしんどいっすね。」
私はこの会話で確信した事がある。地元では
BRTは好評という記事をチラホラ見かけるのだが、その好評理由をハッキリと納得するに至れた。
BRTの運行本数の多さが、それを支えているのである!!これまで述べてきたが、気仙沼線利用者の半数は高校生である。確かに
従来より20~30分遅くなるが、その代わり2時間から30分に一本へと運行本数を増やしますと言われたら、正直悪い話ではない。なるほど、もし地元が所要時間よりも運行本数を重視するなら・・・、
BRTが本復旧でも仕方ない。
でも待って!!!!本当にそれでいいんだろうか?もう一度考えてみよう!!!!まず今までの運行本数が日に10本程度だったのに、突然30本になるなんて・・・、おかしいとは思わないだろうか?確かにバスの方が列車よりもコストが安く、また増便もしやすいのは間違いないだろう。運転ダイヤの編成が複雑な列車と違い、バスの方が容易である事も確かな事である。しかし気仙沼線よりも需要があった
石巻線(最大本数区間約20本前後)や
陸羽東線(最大本数区間約25本前後)、そして気仙沼線よりは少ないもののほぼ同数需要である
大船渡線(最大本数区間約10本前後)
を差し置いて、この本数で運転されているのである。・・・どう思われるだろうか?
これまで需要のない赤字路線だから気仙沼線は本数が少なかったのに、いくら運行コストが安くなったからと言って日に20本も本数が増えるのは自然なんだろうか?私の意見を言わせて頂こう。
BRTの運行本数は将来的に絶対減らされるだろう、間違いなく!!
少なくとも今は大丈夫であろう。
もし今、本数を減らしたらBRTの評価理由は無くなるのだから。それにこんな事をすれば、全国的にも叩かれるであろう。でも恐ろしいのはBRTを本復旧と認めて、気仙沼線の鉄路復旧の可能性が費えた時である。その後もしばらくは大丈夫だろうが、震災が風化してくれば必ず、世間的には叩かれなくなってくる。そうすればJRだって採算性の低い路線の見直しとして、
BRTの本数を減らすはずである。最後には震災前の気仙沼線と同数本数になるのが目に見えている。いや、最悪、震災前よりも少なくなる可能性もあるだろう。だって運転本数が減らしやすいのだから・・・当然、現行BRTの始発・最終のバスなんかはすぐに廃止の対象だろう。
BRTは所詮、バスなのである。そしてバスは簡単に減便出来るのである!!ちょっと前に東京の親戚の家に来たら、私がよく利用する阿佐ヶ谷駅発長久保行きのバス本数が減らされていたので驚いた。
前は20分位に1本だったのに、知らない間に30分に1本になっていたのだ。仙台でも市営バスの本数が突然減るとかはザラだ。今でもショッキングに覚えているのが、当時地味に利用していた仙台駅を
日に4本発着していた錦ヶ丘行きが、突然平日一日2本のみの運行になった事である。
バスはこの位、簡単に減便出来るのである!!!!逆に言えば、列車は簡単には減らないのである。先に挙げた陸羽東線も石巻線も大船渡線も、多少の増減はあるとは思うものの、10年近くほぼ同じダイヤじゃないだろうか?鉄道は高額な維持費や複雑なダイヤ編成のおかげで、
簡単には減便できないのである。さてここで結論を述べよう。簡単に言うならば
BRTの見せかけのメリットに騙されないで欲しい!!と言う事である。
運行本数は絶対減らされるだろう、間違いなく。もしここで「運行本数が多ければ、みんな利用するんじゃない?」と言う人がいたら、残念ながらそれは違うと言わざる得ないだろう。
みんな車を持ってるのに、わざわざバスを利用する人は居ないのである。いくら震災復興が進んでも、需要は昔と変わらないと私は思う。
だからと言って「鉄道復旧必要なし」と主張するのは困るのである。その理由は第一~四回で述べたつもりである。参照願いたい。
最後にもう一つだけ記そう。準地元民として。
それはさっきの
高校生との会話の黒字について・・・
つまり
彼は地元民なのに、今まで気仙沼線を利用して居なかったと言うことだ。
恐らく3年高校生活を送れば、後は車社会に生きるのだろう。
多分、今気仙沼線を使ってる高校生の半数は、後の車族である。
さて気仙沼線の利用者としてもう一つ大事なのが、帰省客や観光客の需要である。
彼らは利便性で乗り物を選ぶ。特に観光客は利便性で、目的地を選ぶ。
もしBRTを本復旧にしたら・・・、観光客は昔より来るだろうか?今は復興期である上に、BRTそのものを珍しがって来る人もいるが・・・。復興した後はどうだろうか。私はBRTの本数削減は、絶対起こると確信している。しかし高校生はどんなに本数を減らされても、それに乗るしか道はない。そして観光客はどうであろうか?もしBRT一日に10本と鉄道一日に10本の場所があったら、どっちが利便性があると思うだろうか・・・・。
特に地元の方には、よくよく考えて欲しいと切に願う。
後になって鉄道が良かったと言っても・・・遅い。次回は第六回:BRTで本復旧はダメ!!:(専用道編)をお送りします。