
・・・この順位表の47番や、71番、願わくば48番が点灯する日を祈っている・・・。
まず初めに、「気仙沼市はよくやってくれた」と私は思っています。
本当にお疲れ様でした。
でもやっぱり、残念でならない。これが正しい答えだとは思えない。それが私の正直な気持ちだ。JRと気仙沼市にこの結論を導かせた国、そして簡単に諦めた南三陸町行政の愚考を、私は生涯忘れない。
さて今回は、気仙沼市とJRの合意内容を見ていこうと思う。
気仙沼市の公式発表を、私なりに分かりやすく解説していく。
気仙沼市の公式発表
例の如く、リンク切れでしたらご了承下さい。
<気仙沼市とJRの合意内容>
大きく分けて三点ですが、このブログでは特に二点目について詳細に取り扱わせて頂きます。
●一点目
JRはBRT本復旧に当たり、今後も運行頻度・時間短縮等といった利便性向上に努める。
⇒これについては、私からは特にコメントはありません。何故なら、既に合意していた他の自治体も同様の要望をしていたからです。もちろん、これだけでは気仙沼市は合意しなかったでしょうし、私も絶対に評価する事はなかったでしょう。次が本題となります。
●二点目
JRは気仙沼~仙台間のアクセス向上を、以下3点で努めていく。
⇒このブログで私が何度も指摘した通り、ここが最大のポイントでありました。JRが何処まで妥協するか。本当によく、気仙沼市は頑張ってくれたと思っております。
■①東北新幹線で仙台⇔一ノ関間を利用し、一ノ関⇔気仙沼間は大船渡線を用いた場合でも、運賃は気仙沼線経由とほぼ同じ料金とする期間限定の割引切符の導入を、JRは検討する事。■
⇒・・・実はこれ、私は無理なんじゃないかと思っていたんですね。期間限定とはいえ、よくやってくれたと思います。
震災前、仙台⇔気仙沼は快速列車で2時間、正規料金2270円でありました。今の気仙沼線はBRTという使えない代物なので、4時間もかかります。これが解決しない限りは、絶対に鉄路以外選択はないと思っていた次第です。ですが気仙沼地域だけは例外で、これを解決できる術がありました。それが①で示したルートなのです。
具体例を挙げます。仙台12時17分発に一ノ関停車のはやぶさ号があるのだが、それで一ノ関まで出て、そこから12時45分の気仙沼行きの大船渡線に乗り換えた場合、気仙沼は14時09分に到着する。・・つまり1時間52分で、仙台から気仙沼へ向えるのだ!!
だが・・・料金は4860円になる。気仙沼線経由の2倍近い運賃だ。こんな話しは無い。だから気仙沼市は「気仙沼線で2時間で仙台まで行けない状態を一生続けるなら、このルートを気仙沼線経由と同等の運賃にしろ!!」と交渉していたのである。しかし一ノ関から仙台までの新幹線特急料金が1840円もするのに、JRは了承出来るのだろうか?
・・・期間限定とはいえ、よくやってくれたと思います。これが実現すれば、私も純粋に嬉しい。では2つ目、行きましょう。
■②JRは仙台~(東北本線)~一ノ関~(大船渡線)~気仙沼というルートで、快速列車の運転を検討する事。■
⇒もういいでしょう。私が『未来③:気仙沼線沿線自治体首長会議Part3 導かれた未来』で言いたかったのは、正にこれです。この快速の運転が行われない限り、絶対にBRTは認められませんでした。これも具体例を示そうと思います。
まず仙台⇔一ノ関ですが、この区間は停車駅を小牛田のみとすれば1時間ちょっとで行く事が可能なんです。運転を終えたカシオペア号は、仙台⇔一ノ関間を1時間7分で結んでおりました。一ノ関⇔気仙沼間は普通列車で1時間20分、当然快速列車ならば10分~15分の短縮は可能です。(気仙沼線は気仙沼~小牛田間の普通と快速の差が、30分でありました)・・・となれば快速列車で仙台⇔気仙沼は平均2時間10~20分で行ける。私はずっ~と、そう思っていたのです。確かに昔よりは10~20分程遅くなりますが所要時間は高速バスより短く、かつ定時性も担保されます。後は料金を気仙沼線経由と同等にすれば、この問題は解決してしまうのです。大船渡線で、気仙沼線が担ってきた役割を果たす。これが実現すれば、私自身は安泰です。 実は私は仙石線が不通の時に運転されていた仙台~(東北本線・石巻線)~石巻の快速列車を見た時、既にこの事に気が付いていました。小牛田回りのこの列車が石巻まで1時間ちょっとで行けると知った時、「震災前の仙石線普通列車より速くね?」と思ったんです。それが、この発想のきっかけでした。
ですがそれを大っぴらに言う事は、
気仙沼線の復旧価値を下げる事になると私は感じていました。お偉いさん方に「大船渡線で何とかするから、気仙沼線直さなくていいよね?」という発想をして欲しくなかったのです。これはあくまでも気仙沼地域だけの解決方法であって、志津川・歌津・本吉には関係のない事でしたから。利用者としてはずっと前から「これさえあれば、文句無いのに!!」とよく思いましたが、志津川が馬鹿な事を言うまでは発言を控えるようにしていました。・・・きちんとこの実現を方々に陳情してきて、本当に良かったと今は思っています。
以上の2つが、気仙沼市が結論を引き延ばした意義であり、市長が「大きな成果」と評価している部分だと私は思っております。この2つ、即ち仙台から気仙沼までのアクセスを震災前水準へ戻してもらう事こそが、とても大事な事だったのです。震災前よりも不便になるようでは、復興に結びつく訳がありません。だからこそ私も、この事案を評価し歓迎したいと考えています。
・・・ですが、まだ安堵は出来ません。皆様、何故だかお分かりになるでしょうか?
・・・これ、全て検討するなんですよね。
以前、「移設費用の捻出を検討しています!!」と言って1年4ヶ月も放置した挙句、何もしなかった最低な馬鹿共の先例があったりしますので。「検討したけど、ムリ~」とか、「割引きっぷ、4000円で売りましょう!」とかでは話になりませんよね。
もう少し、注視していく必要があります。
まだまだ、気が抜けません。
あっ、3つ目を記しておくのを忘れましたね。
■③恒久化する気仙沼線BRTについて、JRはBRT(バス)を用いた仙台へのアクセス向上を検討していく。■
⇒これは既に志津川(南三陸町)もこの条文を前提に合意していたので、特にコメントはありません。ただBRT(バス)でどうやって、仙台へのアクセス向上を実現するんだろうなーっと。確かにいくつか考えられますけど・・・、見物ですね。私自身はBRTの前谷地延伸なんかより、陸前戸倉までの鉄路復旧の方がよっぽどアクセス向上に繋がったと思うんですがねぇ~・・・。
それでは三点目、行きましょうか。
●三点目
JRは気仙沼市と共に、道の駅大谷海岸(はまなすステーション)の再建に協力する。
⇒唯一、これは確約で合意致しました。計画段階から協力頂けるという事実は、準地元民としては喜ばしい事だと思います。気仙沼市としても鉄路から外れる本吉地区の観光振興をJRと共に担っていける事は、代価としては充分だったのではないでしょうか。同地域に対するJR東日本のこの姿勢を、私は評価したいと思っております。
以上の三点が、大きなポイントになるかと私は考えております。
検討という言葉や、具体的な内容(割引切符の期間,値段,直通快速の運転の時期等)が示されていないのが心配の種ではありますが・・・
これが全て実現するならば、気仙沼地区の利用者としては合格点だと思っています。
国や志津川の冷たい北風に吹かれる中で、気仙沼市はよく頑張って下さいました。またJRが同市の要望を聞き入れ善処して下さった姿勢に、御礼を申し上げたいと思っております。
[今回の合意で、気仙沼地区の利便性は還る事が出来ました。]
即ち、『仙台へのアクセス』については、震災前水準へと回復する見込みとなりました。この事実は必ずや今後の復興に於いて、新しい光となっていく事でしょう。
速達性ある鉄路の復旧、これ無くして復興なんてありえません。震災前より不便な乗り物なんて、復興に寄与する訳ないのですから。
[そしてこの合意によって本吉・歌津地区の鉄路復活の可能性は、ほとんど失われました。]
これまでの流れを振り返れば、すぐに分かる事です。志津川~気仙沼間の鉄路復旧は移設が認められない限り、JRは動きません。費用捻出しようにも、国は無視。南三陸町は、何とかなるはずの陸前戸倉までの鉄路復旧すら諦観してしまいました。同町で発足した鉄路を求める住民団体の力で、もしかしたら志津川までは鉄路復旧する未来はあるかもしれません。それはそれで応援したいのですが、その先には気仙沼市が控えています。10年後とかに「志津川~気仙沼間は第三セクターで鉄路復旧出来るよ」とか言われても、上記合意内容が既に履行状態の気仙沼市にとっては戻すメリットが少なすぎるのです。
一応気仙沼市とJRの合意文書には・・・
気仙沼市
「遠い将来における気仙沼線の鉄路での復活の可能性を存置すること」
に対して
JR
「新たな社会経済情勢に適合した地域交通の維持・提供を目指します」
と書いてありました。ですから鉄路の可能性は、残ってはいます。しかしJRによる鉄路復旧は99%は無いと言えるのも事実なのでしょう。JR主体でなければ、多分、気仙沼市は鉄路復旧には消極的となるはずです。一番の課題だった「仙台へのアクセス」が、もう解決している予定なのですから。・・・だから志津川、あの時に騒いでおけば良かったのに!!
震災前の水準に回復しない⇒不便になる⇒不便な所に人は住まない・住めない⇒人口減少
この方程式の辿りつく先は、消滅です。
気仙沼線のこの決定、利用者として私は評価しております。
ですが本吉・歌津・志津川の事を考えると、本当に残念でした。
まずはきっぷの発売と、大船渡線直通快速の運転に期待を寄せて。
そして本吉・歌津・志津川の今後を憂いながら、この章を終えます。
有難う御座いました。
・・・一応せっかくなので、ずっと公開せずにいた
『第十回:移設ルートを考察する』を1%だけ残っている鉄路復旧の可能性に絡めながら記そうと思います。GW頃の公開を目指します。
どうぞ、よろしくお願い致します。
by管理者