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気仙沼線の必要性を訴えるブログ

このブログは廃線の可能性が示唆されている気仙沼線について、鉄路による復旧を心の底から願っているある利用者が、存続を訴えていくブログです。 利用者として見てきた私の視点から、気仙沼線の必要性について記していきます。 少しでも鉄路による復旧の理解に繋がれば、嬉しく思います。 管理者

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第12回-③:廃止=永遠に鉄路は無理?私が今でも鉄路を信じる理由(後編)


震災前以上に、立派な橋がかかる今の気仙沼線。
・・・本当にこのまま、誰も使わないバスを走らせ続けるのだろうか?
(気仙沼市広報,浜らいん45号より。撮影された日は平成29年2月11日)

<Ⅴ気仙沼線の鉄路、希望はある!!>

少し長くなりましたので、ここまでの流れを簡潔に述べてみましょう。即ち、何故、私が今でも気仙沼線の鉄路を信じる事が出来るのか。

それは『他所の路線に比べて、明らかに費用がかかっているから』
この事実に尽きる旨、皆様にお知らせしたい所存です。

確かに気仙沼線は残念ながら、柳津~気仙沼間は令和2年3月31日を以って、鉄道としては廃止が為されます。私も何も知らなければ、「もう永遠に気仙沼線で気仙沼に行けないのか」と失望感に苦しみ、復旧費負担を拒否した国を恨み続け、BRTしか頭にないJRをケチケチバカ企業めと罵り続けたでしょう。

ですが現実は、上の写真のような立派な橋が、今の気仙沼線には沢山造られている訳です。こんな目に見える形でお金がかかっている事が証明されると、どうしても私にはJRを批判する事が出来ませんでした。だからこそBRT専用道整備の疑問について、考察してみたくなったのです。そしてその答えが、『気仙沼線の将来的な鉄路復活』に結びつきました。

『廃止=永遠に鉄路は無理ではない』
、この事実を皆様に強調させて頂ければと思っております。


さて、広島県には可部線という路線があります。広島にも行った事がないので資料情報のみで記しますが、かつては広島駅~三段峡駅,約60キロを結ぶ路線として運行されておりました。しかし平成15年にJR西日本が赤字を理由に、途中の可部駅から三段峡駅,約45キロを廃止する事を発表し、結局、この区間は廃止されてしまいました。
ところが・・・、平成29年3月に廃止区間の内、約2キロが復活したのです!!

何も知らない人から見れば、たった2キロと思われるかもしれません。
ですが廃止された区間が事実上復活したのは、鉄道史上初めての事でした。この事例の経緯を紐解いていくと、実は気仙沼線には充分に鉄路復活の可能性が担保されているのが分かるのです!!


可部線の復活した区間は廃止前から宅地化が進んでおり、廃止時も根強い反対がありました。JR西日本は「広島駅~可部駅までは電化区間で、可部駅~三段峡駅は非電化区間です。ですので地元が可部駅から約2キロ分を電化してくれるんなら、鉄道運行は継続しますよ」と示されたそうです。ですが地元(自治体)は電化費用を出せなかった為、残念ながら廃止となりました。廃止後も復活を求める運動は継続されましたが、JR西日本は相手にもしていなかった模様です。

しかし廃止から4年後の平成19年、事態は大きく変わりました。
「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」という新しい法律が施行された為です。

この法律は簡単に言えば、「地域交通の活性化の為に自治体が交通基本計画を策定し、それを国が承認した場合は国費として、鉄道の新線建設も含んで補助金を出しますよ」というものでした。
確かによくよく考えれば5年前に開業した仙台の地下鉄東西線も、建設費が国より補助金として降りていた事実がありました。この法律の補助金かどうかはちょっと分からないんですけれども、少なくとも新線建設に対する補助を国が行っている事実は確定的にあるんです!!

災害による復旧補助は、渋っていた過去があるのに不思議ですね。


可部線では廃止区間を新線建設として扱った為、国から補助が降りる結果になりました。その後、JR西日本、国、地元自治体等が会議を開催、鉄道新設の費用を国と自治体が持つ事でJRから鉄路復活の承諾を得る事に成功し、現在に至る事が出来たそうです。

因みに気仙沼線のBRTですが、実は大船渡線も含めて、国の補助を受けている事実があるんです。これ、あんまり知られていませんが、間違いないです。

国にはBRTの支援制度というものがあって、鉄道とは別に新規開業した気仙沼線と大船渡線もこの対象になっているのです!!当時、「国はJR東日本に対して、災害復旧を支援する法律はありません」とか言い出して、事実上鉄路復旧支援を拒否したふざけた現実がありました。ですがBRTは新規開業になりますから、国の補助対象になったんですよ!!

この事実に気付いた時、私の疑問はようやく解決しました。
なぜBRT=鉄道の代行バスという表現は、書類上正しくないのか?
鉄道としての気仙沼線と、BRTというバス路線の気仙沼線。
どうして別々の輸送機関として、個別に登録されているのか?

その答えは災害復旧の国庫補助金が降りなかった鉄道気仙沼線は休止、しかし新規開業路線扱いを受けたBRTは国庫補助金が降りた結果が、現在の状態だと言う事が出来るのです!!

・・・何ともアベコベで呆れちゃいますけれども、今は措いておきましょう。

さて、ここからが、かなり大事となってきます。
この現実を踏まえた上で可部線の事例を気仙沼線を当て嵌めると、面白い事が分かってくるからです。

仮に来年、鉄路復旧を改めてJRに求める事になったとしましょう。普通に考えれば「もう廃止になったから、無理でしょ」と発想すると思いますが、可部線の様に新規開業という扱いにすれば国庫補助金は入る訳です。
つまり、気仙沼市や南三陸町等が「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づいて、鉄道の気仙沼線を基軸にした交通基本計画を策定し、国より承認を受ければ、新規開業鉄道建設の補助金として国費が降りるという訳です。

実はこれ、JRの立場で考えると、かなり合理的になってるんです!!

先に私は今でも、気仙沼線は第11回等の過去のブログ記事で触れた様に、鉄道軌道整備法改正による災害復旧補助の対象になると思っています。

しかし残念ながら、巷では「一度BRTで本復旧を決めたのだから、国からの補助は出ない」とされています。もう気仙沼線の廃線は書類上は避けられませんので、この議論は措いておきますが・・・、
もし巷でいう事が正しいなら、本当に合理的なんです!!

何が合理的か。ここまでの纏めを兼ねて、JRの立場で推測説明してみましょう。

東日本大震災で被災したJR。
沿岸部の復旧について、利用者が多かった仙石線、政府が絡む常磐線は鉄路復旧が絶対であった為、自分達のお金で速やかに行う事にしました。
しかし、石巻線、気仙沼線、大船渡線、山田線の区間について被害が大きいにも関わらず、国からは補助金は出ないと言われました。元々需要が無い区間に、流石に大金を自腹するのは嫌でした。
石巻線は4つの中では一番被害が少なかったので、地元と協力してスムーズに復旧が出来ました。
でも残り3つは地元負担も期待出来そうにはありません。

さて、どうするか。そこで国がJRに言いました。
BRT新規開業支援制度で補助が出せるから、やってみない?

とりあえず何もしないよりはマシという事で、地元に提案。
山田線は拒否されましたが、気仙沼線と大船渡線は了承されました。
その後、山田線については三陸鉄道に下げ渡す事になりました。
多額の出費は痛手でしたが、お陰様でこの区間の55キロ分は一生、面倒を見る必要はなくなりました。

JRも当然、民間企業です。赤字を少なくする努力はしないといけません。
公共交通としての責任を軸に、どこまでコスト削減を図るかを常に考えています。

BRTの維持費は鉄路に比べて、確かに安いです。
でもだからといって輸送人員が低い=BRTがコスト削減かというと、そうではない。

震災前、山田線と大船渡線はすでに長距離輸送のお客を失いつつありました。
釜石市民は山田線回りで、盛岡に行きますか?
いや、釜石線か車を使うでしょう。
大船渡市民が大船渡線で、一ノ関まで行きますか?
・・・車でしょうね。

JRから見ると、短距離輸送相手では儲けになりません。
通学定期券の利潤だって少ない、通院の年輩者も回数券を使う。
しかも沿線の人口は減る傾向にある現実。

これを考えれば、山田線と大船渡線はこれを機に、一生BRTでもいいかと考えてしまいます。
その方々は公共交通機関を使わらざる得ない人達ですから、鉄路でなくとも利用はするんですから!!

でも気仙沼線は?

今度の連休に、楽天の試合を仙台まで見に行くんだ!!
何で行こうかな?
車だと混むし、バスだと遅れたら嫌だしな・・・
仕方ない、朝の気仙沼線の快速で行くか!!

今度のGWに、仙台の三越でスイス物産展をやるの!!
でもこの前の連休は、駐車場もいっぱいだったし・・・
GWですもの、絶対に混むわよね。
よし、じゃあ気仙沼線の快速で行こうかしらね!!

こんな感じ。
常に長距離利用者を相手にしてきたのが、気仙沼線なのです!!

例え車社会でも、電車の方が便がいいなら、自ずと選んでくれます。
気仙沼線は自ずと選ばれる素質があった路線なんです!!

気仙沼線から石巻線、東北本線を経て仙台へ。片道約130キロ、往復なら約260キロの収入が見込めてしまいます。ここが他の2つの路線と違う訳です。

・・・因みに気仙沼から北の人が仙台に行くなら、花巻や一ノ関から新幹線という発想になると思います。県境を跨ぐと、仙台への親近感が大きく変わる旨、お伝えしたいと思います。

この事実を知っていたJRにとって、気仙沼線のBRT化は損を生むものでした。
鉄道だろうがBRTだろうがそんなに儲けが出ない路線なら、寧ろBRTの方が良いんですけど。
鉄道だからこそ利益があったのに、それを捨ててまで、絶対に利益が出ないBRTを永続していかなくちゃいけないわけ?
う~ん、でも流石に全額自腹の復旧では割に合わな過ぎるし。

どうしようか?


・・・よし、とりあえず、『BRTにして国費を貰って直しちゃえ。』んで目途がついてきたら『廃止届を出して、その後にまた新規開業という形で国費を貰って鉄路復旧が出来る』スタンスにしちゃおう!!



・・・この考え方に至れた時、私の疑問が雲散し、鉄路への希望の太陽が見えてきました。
鉄路前提としか考えられない、BRT専用道。そこを本当に鉄道が走り過ぎていく未来を、私は感じる事が出来たのです。

つまり簡単に纏めると・・・

『全額自腹で復旧はイヤ、だから補助金出るBRTで直しちゃえ
                ⇓
『山田線は下げ渡したけど、大船渡線は鉄路にするメリットはないな。最低限出来る所だけ、専用道の工事をしよう。でも気仙沼線は鉄路の方がメリットあるから、仕方ないけど専用道は造っておこう。国費も出るし、やむをえまい』
                ⇓
『専用道の整備も終わりつつあるし、一度鉄路を廃止しよう。もし自治体が鉄路の望むなら、新規開業で国から補助金で対応(地域公共交通の活性化及び再生に関する法律)にしよう。でも大船渡線は一生BRTがいいから、鹿折唐桑~陸前矢作(専用道が無い区間)の整備費が掛かるから無理って言おう!!・・・つまり気仙沼線だけ、鉄路補助金ちょうだい!!

というのが、私の考察です。
以前も書きましたが、専用道を鉄道軌道に戻す費用と時間の方が、9年間も手付かずの線路を復旧させるよりも遥かに楽なのは、周知の事実であると強く私は思っております。昨年の台風19号で多数の線区が土砂崩れ等で不通になったと思いますが、私は大船渡線の鹿折唐桑~陸前矢作も同じく、既に線路としては使えないレベルになっていると思います。大船渡線沿線の皆様には本当に申し訳ないんですけど、もう気仙沼~盛を鉄道で行ける日はこないと私は諦めています。

だからこそ、その対比で、BRT専用道とはいえ、きっちりとほとんど整備されている気仙沼線の将来性について期待しているのです。


可部線が復活するのに必要だったのは、費用の他には鉄道用地と踏切問題だけでした。
鉄道用地は最初の取り決めで、そのまま残されていました。鉄道新設に当たっては踏切新設は禁止でしたが、可部線では「運転回数が少なく、地形上やむを得ない」という特例の下で、3箇所も復活した事実があります。私もyoutubeで可部線の新規開業区間の踏切を確認し、あの交通量で認められるなら、「気仙沼線も絶対に大丈夫」と確信しました。

残りは移設区間の場所と費用のみですが・・・、これもJRの最初の発表から5年以上も経ており、状況も大きく変わりました。防潮堤の計画が幾度も変更される中で、当初の移設対象だった陸前小泉~蔵内間と清水浜~歌津間は既に立派な堤防が完成しました。素人目には、もう移設が必要なのは陸前階上~本吉間だけではと感じています。
復旧費も当初は現状復旧費300億+移設費400億で、計700億と言われましたが・・・。既にBRT専用道で路盤は完成してますし、移設も陸前階上~本吉間だけでかつ、国費が適応されるなら、めちゃくちゃ変わってくると思います。鉄路復旧の為に障害となる要素が、あの頃と比べて小さいのが現実なのです!!


但し、もちろん、大事なのは政治判断です。


誰も何も言わなければ、一生、BRTも有り得るに決まっています。
JR東日本がやっているのは鉄路の可能性を残す事であって、自治体がBRTでいいと言えば、それ以上にお金をかける理由がなくなってしまうからです。

だから今は、もう少し、このままでいい。
自治体側がいつか、必ず、鉄路を正式に要望出来る日が来るまで。
福島県の只見線の様に自治体側がきちんと、アプローチが出来る環境が醸成されるまで。
只見線の様に地元が鉄路を支援する位の気持ちで、JRと手を取り合って欲しい。
気仙沼線の鉄路復活が、復興の終了を合図する汽笛を鳴らす日まで。

【BRTで喜ぶ人なんて、いる訳ないじゃない。】


鉄道とバス、どっちが好まれるか。どっちがイメージが良いか。どっちが速くて快適なのか。
維持費の問題さえ無ければ、『鉄道の方が喜ばれるのは全国一律の考えではないか』と私は思っています。

最後に気仙沼市がJRより鉄路廃止を正式に通達された際に発表がされた、気仙沼市長のコメントについてを以下に記したいと思います。

『当市としては気仙沼線の鉄路廃止に当たり、JRより「遠い将来における気仙沼線の鉄路での復活の可能性を今後も残すこと」に変わりがないことを確認している。』
気仙沼市の鉄路廃止に関する市長コメント(リンク切れはご了承下さい)

そもそも鉄道廃止条件に「鉄路復活可能性を担保する事」が承認されている自体、イレギュラーであるという事を強調して、この章を終えたいと思います。


<エピローグ>

ここまでお読み下さった皆様、有難うございました。
気仙沼線が廃止となる現実に直面した時は、流石に目の前が真っ暗になってしまって、何日かはよく眠れない日々が続くほどに辛かった次第でした。
しかし自分なりにきっちりと調べた結果、気仙沼市のコメント通り、「鉄路復活の可能性の担保を証明出来た」事、自己満足ながらにまずは安堵しています。

しかし、最後はやはり、政治判断なのも揺るぎ様の無い事実ともなっております。
然るべき機会が醸成されるきっかけとして、少しでもこのブログが役に立てば、管理者としてこれほど嬉しい事はありません。

日本全国で、多くの地方路線が廃線危機を迎えています。
今回の章では少ししか触れませんでしたが、福島県の只見線の様にJR、国、自治体が協力すれば、廃線危機は乗り越えられる。広島県の可部線の様に復活運動の継続が、未来を拓く場合もある。私が諦めた大船渡線の鉄路復活だって、やり方によっては出来るはずなんです!!
JRと国と自治体がいがみ合っている内は、何も進展しない。だからこそ、気仙沼線の鉄路復活が只見線と同じ様に、「三者は鉄路に向けて納得し合えるんだ」という証明になって欲しい。住民と利用者に歓喜を運ぶ最後の復興の総仕上げを告げる汽笛が響く、そんな日が来るのをいつまでも待ち続けたいと、心の底から思っています。

また更新したい事が出来たら、よろしくお願い致します。 有難うございました。
コロナウイルスに負けずに、頑張っていきましょう!!         筆者
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第12回-②:廃止=永遠に鉄路は無理?私が今でも鉄路を信じる理由(中編)

<Ⅱ 日田彦山線BRT案は、鉄路復活可能性がない!?>

九州に日田彦山線という路線があります。
福岡県の添田駅~大分県の夜明駅,約30キロが不通の為、BRTによる本復旧がJR九州より提案され、大揉めしている様です。
私は九州には行った事はないのですが、復旧会議の資料を閲覧させて貰った上で、被災前の様子等をyoutube(日田彦山線の走行動画等)で拝見させて頂きました。

日田彦山線を気にされている皆様、是非に聞いてください。
気仙沼線基準でしたら、この不通区間全てBRT専用道になります!!

私は動画を見るまで、「険しい山奥を走る路線なのかな」と思っていたのですが・・・
山奥というよりは、山里を走っているイメージでした。
少なくとも福島県の只見線で廃止騒動があった会津川口~只見間(ここは筆者は行っています)よりは、開けてるのではと感じた次第です。
因みにその只見線ですが、日田彦山線よりも復旧費が多く、かつ利用者も少ない路線でしたけど・・・、鉄路復旧が決まりました。日田彦山線沿線の皆様、この只見線に倣わない限り、私は確実に鉄路復活は無いと強く思っております。

さて、その日田彦山線の復旧会議資料を見て私が特に感じたのが、「BRTの専用道率の低さ」でした。資料によると、彦山駅~筑前岩屋駅、約8キロしか専用道は造らないようです。残りは全部、一般道なんです。正直、お粗末です。気仙沼線でこの基準が適応されていたら、同線はとっくの昔に専用道新設工事は終了してたでしょう。今も工事が行われている現実も、存在しなかった事でしょう。

極めつけは資料の中に「鉄道用地の利活用」が入ってて、しかもその例に遊歩道やサイクリングロードが挙げられている部分。「鉄道用地の利活用=BRT専用道」ではない時点で、JR九州が日田彦山線の鉄路廃止をしたい意思が汲み取れてしまう。これは良くない。
だからコロナウイルスではないけれども、日田彦山線はここが踏ん張り処だと私は思っている。

・・・ところで、ここで視点を気仙沼線に戻してみたい。

実はJR九州がやっている事は、ある意味では正しいのだ。
気動車よりも維持費の安いバスで、ほとんどの区間を税金維持の一般道で走らせる。
被災前は添田駅~夜明駅(約30キロ)の鉄道施設維持が求められたが、BRT本復旧にすれば負担は彦山駅~筑前岩屋駅(約8キロ)の道路維持費だけ。その他の22キロは廃止、つまり面倒を見なくていいのだ。これは、22キロ分の維持費削減へ結びついている。元国鉄とは言え、民間企業的な考え方に則るなら納得は出来る。


だが気仙沼線は壊れた橋まで直して、いやそれ以前に震災前は平面交差だった部分を高架にしてまで、既に40キロ以上をBRT専用道として整備しつつあるのだ。


・ ・・この違いは何だ?

<Ⅲ日高本線BRT案は断念、でも気仙沼線とは矛盾>


北海道には日高本線という路線があります。鵡川駅~様似駅,約115キロが不通の為、廃止騒動が起こっています。
この日高本線、当初、BRTによる本復旧も検討されておりました。しかし線路から専用道への転換費用が約100億近く掛かる為、断念したそうです。

・・・えっ、100億!?
なお日田彦山線の転換費用は、約10億だそうです。


どういう基準で100億かは知りませんけど、仮に日田彦山線の基準で考えて見ましょう。
8キロの転換費用が10億という事は、1キロ当たり1億2500万が必要という事です。
これを日高本線がBRTとして必要にしている100億で計算すると、約80キロがBRT専用道となり、残り35キロが一般道で走行するという試算となります。

80キロに関しては今後も、BRT専用道として維持を強いられます。
という事はJR北海道から見れば、35キロしか廃止出来ない訳です。
日田彦山線は10億で22キロが廃止、でも日高本線は100億で35キロの廃止。
これではJR北海道がBRTを嫌がるのも、一目瞭然ですよね。

・・・じゃあJR九州のようにBRT専用道を減らして、一般道を走行しまくればいいじゃん!!

・・・すみません、私はそう考えるんですが。関係者なら私、これ絶対に突っ込むんですが。まぁ苫小牧から東、つまり日高地方へは行った事がないので口は挟めませんが、どうなんでしょうか?個人的には気仙沼線の経験から、路線バスの転換よりは間違いなく、BRT転換の方がマシだと強調したいと思います。このままいけば間違いなく、日高本線不通区間は完全廃止です。コロナウイルスじゃないですけど、ここで負けないしぶとさを見せていかないと終わりだと思います。

・・・ところで、ここでまた視点を気仙沼線に戻したい。

JR北海道のやっている事はやっぱり、ある意味では正しいのだ。
そもそも復旧費と維持費の問題から鉄路廃止が取り沙汰されているのに、BRTの転換費用が100億ってなんだ?鉄道の復旧費が86億なのに、こんな話はない。何で鉄道復旧費より、高い金額が公表されるんだ?別にJR九州のように専用道にしたい部分だけお金を使えば、100億なんて数値出てくるはずないんですけど!!
・・・これはどう見ても、「JR北海道が日高本線の不通区間より完全撤退したい」という意思表示にしか見えない。BRTだとJR北海道が今後も運営ですが、路線バス転換なら115キロ全部がコスト削減に結びつきますもんね。元国鉄とは言え、さすが倒産寸前のJR北海道。会社再生には余念がないですね。

一方の気仙沼線、日田彦山線基準で計算すると既に、50億以上もBRTへ使っている。しかも日田彦山線が予定しているBRT区間は豪雨被災が少ないのに対し、気仙沼線の場合は津波消失区間も含んでバンバン専用道にしているのだ!!だから少なく見積もっても、70億以上はBRTへ注ぎ込んでいると思う。日田彦山線が鉄路復旧に56億、日高本線が86億、・・・気仙沼線基準なら既に鉄道復旧していたように感じるのだ。

・ ・・この違いは何だ?

<Ⅳ旧山田線のBRT提案、さて気仙沼線では・・・>


さあ、我らがJR東日本。JR九州が消極的BRT(30キロ中8キロだけ専用道)を提案し、JR北海道はBRTどころか完全な廃止を提案する中で、気仙沼線では積極的BRT(55キロ中45キロ以上が専用道予定)が推進されている。しかし地方への莫大な投資がJR東日本の社風なのかと問われれば、実はそうではないと私は見ている。その事例が、旧山田線(現,三陸鉄道)の区間なのだ。

旧山田線は震災の津波で、釜石~宮古が不通となった。その時にJRはBRTによる仮復旧案を提示し、地元に拒否された事があった。その具体的な中身を振り返ってみると、おかしな事に気付けるのだ。
JRは当時の山田線について、「不通区間55キロの内、10キロだけを専用道にする」と地元に話した。
何故に10キロだけなのかと言うと、『鉄橋が流されたので、復旧に費用がかかります』とか『国道45号線という立派な道路で代替可能なので、無理に専用道はつくりません』と説明したそうだ

・・・はっ?  


上記が地元に拒否されたJRは、再びBRT案を提案する。「不通区間55キロの内、25キロを専用道にする」とし、『多くの鉄橋は復旧させる』、『山深い所と国道45号と並走する所以外は、基本は専用道にする』というものだった。

えっーと・・・? 

気仙沼線、どうでしたっけ?

鉄橋や陸橋は全部、JRが進んで直してなかったけ?
国道45号と並走している部分や山深い所なんて関係なく、バンバン専用道を造ってなかった?



もし旧山田線がBRTだったら、JRの費用はどうなっていたのだろう。
日田彦山線方式で計算すると、一回目は約13億、二回目は鉄橋の費用を考慮しても約40億位だろうか。約40億で、専用道化しない30キロは廃止という考え方。民間企業としては悪くはないのではと思えますが、どうでしょうか?


因みに大船渡線、被災区間だと鉄橋は一つも直してません。

不通区間である気仙沼~盛間、約45キロの内20キロが専用道。
25キロは専用道化されず、その内の15キロは専用道化出来るはずの鹿折唐桑~陸前矢作間も含まれます。令和2年4月1日の鉄路廃止によって、この区間の面倒を見る義務はJRには無くなるでしょう。先の日田彦山線方式で考えれば、約25億の復旧費で25キロを廃止出来ちゃう訳です。これも民間企業的な考え方としては、悪くないですよね。

じゃあ気仙沼線は?

柳津~気仙沼間、約55キロの内、45キロが専用道。鉄橋、陸橋込みで復旧費は少なくとも70億円。専用道化しない10キロが廃止。となると・・・

70億で10キロの廃止!?


ちょっと大雑把ですけど、纏めてみますね。
鉄道を廃止してBRT転換する場合、
1キロ当たりの廃止費用がいくらになるかと言うと・・・

日田彦山線は1キロ廃止するのに、4500万位の計算です。
日高本線は1キロ廃止するのに、2億8000万位の計算です。
旧山田線は1キロ廃止するのに、最初の案で3000万位
         2回目の案で1億3000万位の計算です。
大船渡線は1キロ廃止するのに、1億円の計算です。
気仙沼線は1キロ廃止するのに、7億位の計算です。

・ ・・ふぉっばぁっ!?
JR北海道、立場ないですね( ゚Д゚)

皆様、この結果、どう取りますか?
このお金の掛け方、廃止の為の注ぎ込み方じゃないですよね・・・。

よその路線との比較、これが気仙沼線が如何に優遇されているかの証明なのです!!

なんで?


仙台へのアクセスが無い気仙沼線なんて、他のBRT候補扱いされた路線と変わらない需要しかないのに?

なんで?


・ ・・だから私は今でも、気仙沼線の鉄路復活を信じる事が出来るのです。

【鉄路が廃止されても鉄路復活は出来る】事実。

後編ではその辺りについて、解説していきたく思います。

第12回-①:廃止=永遠に鉄路は無理?私が今でも鉄路を信じる理由(前編)

専用道が造られない陸前矢作駅より南側は、もう朽ち果てるのを待つだけなのだろうか。

<プロローグ>
先に記させて欲しい。
気仙沼線はR2.3,31で、鉄路廃止となる事実。
すんごくショックで、具合が悪くなった。
持続可能な交通システム?、・・・冗談じゃない。
BRTの未来は利用者減少による衰退と廃止のみだ。
頼むから教えてくれ。

誰があんな遅くて乗り心地も悪い乗り物を、好き好んで使うのかを。

<Ⅰ, やっぱりおかしいよ、今の気仙沼線!!>


・・・しかし鉄路が廃止となる現実に直面する中、どうしても私には解せない事実があった。

「なぜJRはあんなに莫大な金をかけて、BRT専用道を造っているのか」という疑問である。

自分たちのお金で、自分たちが維持費を負担するBRT専用道。造ればつくる程、赤字しか生まないBRT専用道。鉄道と違って税金負担の道路が使えるのに、その事実を知らない様に整備されていくBRT専用道。

・・・なんで造っているのか?


先に断っておくが、「地元の利便性の為」とか、「将来のBRT自動運転の為」とかという理由は、私は違うと思っている。

 まず前者で喜んでいる地元民は、ほとんどいない。当然だ、今の気仙沼線は交通弱者と一部のマニア以外、誰も使わないのだから。気仙沼線=仙台への最速アクセス手段という位置付けが復活しない限り、BRT専用道がいくら出来ても利用者獲得には結びつかない。寧ろ、専用道の整備がどのくらい進んでるのか、ほとんどの人はよく分かっていない。それ程に、今の気仙沼線は必要とされていないのだ。

 では後者はどうか。確かにこの前、陸前横山駅にてBRT自動運転の実証実験が行われた。専用道区間に特殊なセンサーを埋め込み、BRTと交信しながら60キロ走行を実現したそうだ。私自身も現実味を感じた処で、「これで鉄道時代同様に85キロ運転が可能となるなら、柳津までの速達性問題は解決するかな」と素直に思った。成る程、確かにBRT自動運転は将来的に、一般の路線バスよりは早く実現するかもしれない・・・。

でも待って!!ここで疑問がある。

「なんで大船渡線の鹿折唐桑~陸前矢作間は、BRT専用道にしないの?」
という事実だ。

公式では「県境を跨ぐ為、需要が少ないから」とされているが、その理由は変だ。

だって今の気仙沼線と大船渡線って最早、ほとんどの区間で専用道を造るメリットが無い程に需要がないんだから。寧ろ、あの区間こそ津波被害が皆無なのだから、被災した区間よりも低費用でBRT専用道を造れるはずなんだが・・・。

BRTの自動運転は運転手不足と運転手の人件費削減から、急いでいると聞いている。
でも専用道区間で自動運転が実現しても、途中で一般道を走行するなら結局、運転手が必要だ。これでは意味がない!!

えっ、バスそのものが将来、自動運転になるって?

じゃあBRT専用道に、わざわざメンテナンスが必要そうな高級なセンサーを入れなくってもいいんじゃない?

仙台まで楽に行ける環境が整わない限り、需要がある訳でもないし!!

っていうかその場合、専用道廃止して、そのまんま一般道を走らせ続けた方がコストも安くなるんじゃない・・・?

そもそも、BRTの自動運転って導入コストが明らかに掛かっていると思われるんですよね。もちろん将来的なBRT新設の実証実験場としては良いんでしょうけど、利用者で溢れかえるイメージの東京とは真逆の気仙沼・大船渡線BRTにその投資、見合ってますか?


いやそれ以前に、
専用道自体への投資、これ見合ってますか?

・・・やっぱりどう考えても、おかしいのだ。

「何故、気仙沼線のBRT専用道は無理してまで、造られていくのか。」


この数か月、私はこの疑問を独自に精査していた。

その際に参考となった路線が、同じく津波で被災した大船渡線と旧山田線(現,三陸鉄道)、一度BRT化が検討された北海道の日高本線、現在BRT化が検討されている九州の日田彦山線。そして甚大な豪雨被害によって廃止勧告を受けながらも、鉄路復旧が決まった福島県の只見線。また一度正式に廃止されたにも関わらず、鉄路復活を果たした広島県の可部線。この計6路線が経験している経緯が、私に一つの希望を抱かせてくれた。


「気仙沼線には充分、鉄路の復活がある」っと。



中編からは今上げた6路線を基軸に、その理由を解説していこうと思う。

第11回:BRTは鉄路復活のキセキ!!~JRがお荷物に投資する訳がない~

突然ですが、皆様に質問です。

JR東日本って、どういうイメージの会社ですか?

・・・ネットの書き込みには結構「地方を考えない」とか「守銭奴」とか、「最近はみどりの窓口やびゅうプラザを閉鎖しまくっていて、合理化しか頭に無い」とか。色々、聞く感じですよね。

でもその一方で、「地域に密着したジョイフルトレインを運行」したり「都会の駅で地方の物産展を開催」したり、スイカを用いた「子供見守りサービス」という新しい試みをしてくれたり・・・。まぁそんな事実もあったりする訳で。だから何だかんだで結構、私は嫌いではないんですよね。


んで、そのJRさんなんですけど・・・、
やっぱり今の気仙沼線に、ここまで投資してくるのが、もの凄く不自然な訳ですよ!!

今回は専用道の整備について、解説していきたいと思う。
整備が進んできた今こそ、多くの方々に久々に活用するブログを用いて、私がずっと考えてきた事を記したい。その答えが、気仙沼線の鉄路復旧へのキセキになると信じる処である。


そもそも気仙沼線がBRTになった訳、それは何だったであろうか?
私は「復旧費用が安くすむから」と伺っていました。確か鉄路に比べて、「復旧費の数値が1ケタ変わる」と記されていた記憶があります。あの頃の私は「これは直せるとこだけ直して、あとは一般道を走行するバス転換にするつもりだな」と本気で思いました。その後に「気仙沼線は90%を専用道にする」という報道が為されましたが、「こんなの計画だけで、一生やらないんでしょ」と素直に思ってたものです。

ところが、前にブログで書きましたが・・・
本当にお金を賭けてるんです、信じられない位に!!

今なら断言できます。JRは間違いなくあと3年圏内で、本当にBRT専用道を90%にするでしょう。

以前、鉄路復旧の議論の際にJRは「移設区間の費用を公費で貰えるなら、鉄路復旧する」と公言した事がありました。ネットとかでは「これは自治体や国に無茶ぶりして廃止に追い込もうとしているだけの、JRの策略だ」と囁かれていたものです。


でも・・・、
今のBRT専用道って、移設提案ルートに含まれていた本吉~陸前階上以外、全部直しているですよ!!

この前、遂に歌津~清水浜~志津川の専用道が完成しました。震災前よりも立派な陸橋が、ざーーーーーっと広がっていました。本吉~陸前小泉の陸橋も、いい感じで復旧工事をしていました。また南気仙沼駅から小牛田方面にある流されてしまった大川の鉄橋も、間もなく復旧工事を開始するようなんです。・・・えっ、これ、いくらお金賭けんの?マジで?


ちなみに先日、久々に陸前高田の方に行きました。その時に陸前矢作~竹駒間にある大船渡線の鉄橋は相変わらず無残な姿のままでした。・・・私は小泉の陸橋は鉄路復旧が決まらない限り、永遠にあのまんまだと思ったんですけどね。

今の気仙沼線、すんごく優遇されてます!!

廃線論者が肝を潰す位に、いや寧ろ鉄路復旧派の私でさえ「こんなにお金を使っていいの?」と狼狽しているのが正直な処なんです。

だって・・・
「JRにとって今の気仙沼線は、ただのお荷物路線なんですから」


 震災前の気仙沼線って何度もこのブログで書きましたが、「仙台⇔気仙沼」の速達性で持っていたような路線でした。よく「気仙沼線なんて1000人未満の輸送人員しか無いんだから、廃止が妥当でしょ」と語る人々がいますが、輸送人員だけで判断するのは残念ですが愚か者のする事です。

よく考えて下さい。JRから見て・・・

①輸送人員は1500人であるが、乗客は近距離移動(片道500円未満範囲)
 の高校生と年輩者ばかり
②輸送人員は500人だけだが、乗客のほとんどが2000円以上の切符を
 購入する長距離利用者の場合

さて、どっちがJRの儲けになると思いますか?

単純計算すると
①は1500人×500円=750000円
②は500人×2000円=1000000円 になる訳なんですよ!!

明らかに後者側だった気仙沼線は、震災前は必ずしもそこまでお荷物路線では無かったんです!!

でも、今はどうでしょう?
仙台まで2~3時間だったのが、3時間30分~4時間。しかも柳津~気仙沼まではバスです。
いつもお話しさせて頂きますが、誰が今の気仙沼線を好んで使うんでしょう?

故に完全に前者になった気仙沼線は、震災前よりも500人以上の利用者数を失って、完全にお荷物路線になってしまいました・・・。この前、やむを得ずに気仙沼から仙台まで利用した時なんて、小金沢~小牛田までBRTも、柳津からの列車も貸切だったんですよ!!私一人の為に、バスも列車も運行してくれた訳です。999だって、メーテルが乗っているのにね。


先にお話ししておきますが、BRT専用道が全て完成してもJRにはなんのメリットもありません。


BRTの専用道開通によって、所要時間は鉄路運行時(普通列車)に近づき、かつ定時性も良くなるのは間違いないでしょう。でも、それが利用者増加に繋がるのかと言われれば、答えはNOです。鉄路であれ、BRTであれ、近距離の主力は車に決まっているのですから!!
「えっ、専用道が出来た?ふ~ん・・・」と他人事の様に思っている地元民が、圧倒的多数であるのは間違いでしょう。

しかもJRから見れば、
自分で自分の赤字をつくっているのが、今のBRT専用道づくりなのです。

BRTの専用道は確かに、鉄路に比べれば維持費は安いと思いますよ。
でも結局、維持費はJRの負担になる訳ですよ!!
側に税金で維持してくれている道路があるのに、わざわざ維持費が掛かる専用道を造っている訳です。

この前、JR九州の日田彦山線がBRTになるって話がありましたね。
さすがに現地を見てない、いや九州にすら行った事が無いので憶測のみで記しますが・・・
あれって「トンネル以外はBRT専用道を造らない」って、私はネット記事より解釈したんです。

いやぁ、すみません。これ多分、気仙沼線と同じ感覚なら、日田彦山線の不通区間、全部BRT専用道になりますよ。JR九州は鉄路で直すとお金も掛かるし、その後の維持費も大変だからBRTを提案したんですよね?・・・えーと、気仙沼線は復旧費度外視で全部専用道にして、しかも維持費もJRが持ってるんですけど。

加えてその気仙沼線なんですが、今では全国でも屈指のワースト輸送人員を記録しちゃってる訳なんですよ。正直、永遠に鉄路にするつもりが無いなら、前谷地~柳津間なんて即廃止を宣言されてもおかしく無いレベルなんですよ。JR北海道の基準だと間違いなく、「維持困難線区」扱いになる路線なんです!!



なのに・・・、あの守銭奴で地方を大事にしないJRが・・・
「何でこんなに気仙沼線に投資しているのか?」


その答えはやはり、
「鉄路復旧を前提としたBRT専用道造りを意識している」としか、私には思えてならないのです。



でもここで、普通に思い浮かぶ疑問が出てくると思います。それは、

「だったら、最初から鉄路で直せばいいじゃん!!」というツッコミです。


これは私も当然思った事だったのですが、今ならその理由が答えられます。以下にその解説を、記していきましょう。

①一つ目はあの頃はJRに対し、まだ公費が下りなかった事
 気仙沼線は現状復旧費300億+移設費用400億=計700億で、鉄路復旧が可能と言われました。その内、JRは移設費用である400億について、公費による復旧を求めました。ところが当時はまだ鉄道軌道整備法が改正されておりませんでしたので、国費は下りませんでした。今のBRTになった最大要因は、ココにあります。
 しかし去年、やっと鉄道軌道整備法が改正され、気仙沼線にも国費が入る様になりました。とりあえず最低限の土台は、やっと出来た訳ですね。

②二つ目に、自治体の町計画がまだハッキリしていなかったという事
 この前、「いつまで東北は被災地ヅラしてるつもりだ!!」というコメントがありました。・・・こういう連中が勝手な想像で物事を決め付けて、世の中を残念な方向に導いているんだろうなと強く思います。

 「南三陸町も気仙沼市も、ようやく復興してきた」

 それが今の現状だと私は思います。本当に8年賭けて、ようやくって感じです。申し訳ないのですがもう少しだけ、被災者でいさせて下さい。今ここで支援が終わったら、あと少しで完成する積み木を全部ひっくり返されてしまう。私はそう強く、思っています。 

 さて気仙沼線の場合の最大ネックは、大谷海岸駅近辺でした。あそこの砂浜をどうするのか、堤防にするのか、元の海水浴場にするのか、海沿いにある気仙沼線と国道45号線はどうするのか・・・。この前、やっと決まりました。海水浴場を元に戻し、元の気仙沼線の線路は埋め立て、国道は50メートルくらい海より離して嵩上げして、道の駅も兼ねていた大谷海岸駅もそれに合わせて移設する工事がようやく始まりました。8年賭けて、ようやくです。

 もし気仙沼市が鉄路復旧にこだわっていたら、どうなっていたでしょう?

 国の公費が下りる事が決まったのが、去年。守銭奴なJRは絶対、移設の主張とそれに伴う費用を支援して貰う事が確約されない限り、放置プレイだったのではないでしょうか。そうなればきっと、気仙沼線のせいで大谷海岸の工事に遅れが出ていたでしょう。
 
 しかし今は公費が使え、大谷海岸の道の駅の場所、国道の移設位置も全部決まりました。元々この区間は、JRも移設を予定していた区間です。鉄路復旧に向けた議論がようやく、スタート出来る土台が出来つつあるのです。

 こんな感じの場所が、気仙沼線には結構ありました。南三陸町の一部に至っては、まだ嵩上げ中の処が見受けられます。ですが皆様の支援のおかげで、本当にようやく色々な事が決まり、町計画も整ってきた次第です。御礼申し上げます。

 もし鉄路の確約にこだわってたら、未だに代走バス状態だったでしょう。BRTは本数だけは無駄に多く、運賃も鉄道と同じでした。ですが宮城交通の路線バスはそれこそ震災前の気仙沼線レベルの本数のくせに、時間とお金は鉄道の2倍も掛かる。8年間、ずっとそれを続けられるのは大問題だったでしょう。

 しかも線路の被災状況も8年間、ずっとそのまんまだったでしょう。例えば来年の今頃、気仙沼線の鉄路復旧が決まったとします。そうしたら陸橋も鉄橋もすでにBRT専用道として直っていますから、ただ線路に戻すだけ。放置状態よりも工事が早く終了するのは、誰でも分かる事です。

だから私は
「始めからは鉄路では無理なので、とりあえずBRTを提案した」というのが、今の気仙沼線なんだと思っています。

 だって永遠にBRTにするなら、無理して全部直さなくていいのですから。・・・大船渡線みたいに鹿折唐桑~陸前矢作間を廃線状態で放置してたって、陸前矢作~竹駒の鉄橋を崩落状態にずっとしていたって、鉄道と違って道路を走れるBRTの運行そのものには何ら支障はないんですからね。鉄路前提じゃないと、中々ここまで思い切った工事は出来ないと思います。


 じゃあ仮に気仙沼線を鉄路に戻した場合、JRには今のBRTよりもメリットがあるのでしょうか?


・・・やっぱり、あるんですよね。

一番考えなきゃいけないのは、残された前谷地~柳津間の鉄路の事。
さっきも軽く触れましたが、あの区間の今の輸送人員って250名前後なんです。当然、利用者も高校生と年輩者の短距離利用で、長距離利用者は皆無です。準地元民として言わせて貰いますけど、もちろん、全然、なっっーーーーんっにも無い処です。観光客なんて呼べる訳ないし、ジョイフルトレインだって運転出来ないような場所です。っていうかそもそも、柳津~本吉間の延伸開業が認められてなかったら、もうとっくに廃線になっていたと思います。そんな今後も需要が見込めないお荷物区間を、JRは面倒を見てあげないといけない訳です。

 ここが気仙沼線が、大船渡線と異なっている点なんだと思います。 

 JRの輸送人員を見ると気仙沼線の場合、前谷地~柳津間が震災前と震災後で約500人も減少しました。柳津から先は不通なので、気仙沼方面に行く人が他の交通機関に切り替えた為です。

 ですが大船渡線の一ノ関~気仙沼間は、震災前と震災後で大きくは変わってません。震災前は盛まで鉄路で行けたのに、今は行けないのにです。このデータだと、震災前から一ノ関~盛間の通し利用は多くなかったという判断が可能となります。という事は仮に鉄路復旧しても、他の線区の利用向上に繋がるのかという疑問が湧く訳です。つまり逆に言うと、この輸送人員が示すデータから、「気仙沼線が全線で鉄路復旧すれば、他の線区の利用向上に繋がる」事が考察出来るのです!!


 確かに震災より8年も経っておりますので、当時と状況は異なりました。三陸道は後3年圏内で、気仙沼市街地と仙台市中心部を結ぶ事でしょう。ですが、だからと言って「みんな車で仙台行くから、気仙沼線なんて要らないでしょ?」という発想は絶対に間違っていると確信しています。理由は簡単で、それだけ、気仙沼線が使える路線だからです。

 仙台という都会は渋滞しやすく、特に繁華街は駐車場を捜すのも大変です。そんな中で『速く、快適に、遅れなく、しかも安全に』両区間を往来出来るのが気仙沼線なんですから。

この震災前から実証してきた事実がある限り、全世代、即ち全ての人から自然に必要とされる路線になるだろうと私は思っています。

 気仙沼線が鉄路で直れば、仙台⇔気仙沼間、つまり東北本線(仙台~小牛田)、石巻線(小牛田~前谷地)、そして気仙沼線全線(前谷地~気仙沼)の利用者獲得に繋がるでしょう。加えて三陸海岸をモチーフにしたジョイフルトレインも運行しやすく、JRの増収事業にも寄与します。三陸鉄道を見れば一目瞭然ですが、やっぱり観光鉄道ってイメージアップが大きいんですよね。

 もしずっとBRTなら、全区間で短距離利用者相手に500人未満の輸送人員、しかもそれは半永久的に続くでしょう。
まあ柳津~前谷地をBRTにする案もありますけど、「それこそ転換費用の無駄、バス転換で良くね?」ってなりませんか?もちろん廃止なんて言ったら、すごっーーく揉めそうなのは火を見るより明らかですし。

・・・このまま大赤字のまま、一部の人達にしか必要とされない路線でいいんでしょうか?

だからこそ私は、どこかの道知事(前町長)という訳ではないですけど、ここはあえて「攻めの鉄路復旧!」を提案したいのです!!


・・・と思ってたんですけど、実はJRの方が私よりその理論を理解してたんですね。考えてみれば私が生まれるより前から、ずっーと気仙沼線を運行してきたんですから。BRTの工事風景がそのものが、その証左になっていました。
 

 『一部の人しか必要としてない大赤字より、全ての人々が選んでくれる小赤字へ』
 

 JRのメリットはコレなんだと思っています。・・・なんか凄く、JR東日本らしい感じがしっちゃって。国鉄と民間が入り混じったそんな思惑を、自分で解説していて勝手に感じた次第でした。


●今回は長くなりましたので、最後にまとめをしたいと思います。●

今のJRは、お荷物路線である気仙沼線に莫大な費用を賭けて、BRT専用道を造っている

②専用道を造りまくっている理由は、将来の気仙沼線の鉄路復旧を前提としている事が考えられる

③仮に鉄路復旧をした場合、気仙沼線の場合はJRから見ると現状よりもメリットがある

以上3点が、今日のブログでお話ししたかった事です。

8年間、気仙沼線をずっと見てきました。気仙沼線はどうなってしまうのか、随分とヤキモキした気持ちで過させて貰ったものです。でも今では放置プレイを見せないJRに対して、確かな鉄路への希望も託しております。


BRTの軌跡が、鉄路への奇跡になる日を信じて、この後も待ち続けます・・・


長文でしたがここまでご拝読頂きまして、有難うございました。 筆者

未来⑥:鉄道軌道整備法の一部改正案、いよいよ成立!!

長かったです、本当に・・・
2年前、BRTが本復旧扱いとなってからの失望感。
それにようやく、光が見え始めてきました・・・

この度、いよいよ
鉄道軌道整備法が改正される見込みとなった
旨を、
皆様へお知らせしたく思います!!

3年前、「気仙沼線の鉄路復旧に向けた支援は、今は出来ません」と国に言い渡されました。
(その時の状況が、こちらの記事です)
あの時は本当に、国は最低だと思いました。

でも、やっと変わるんですね。

この改正により、

年内にも気仙沼線は国の支援対象になる事が出来ます!!

7年間放置されてきた話が、ようやくスタートラインに立てるんですね・・・。この改正にご尽力された皆様に、感謝致します。有難うございました。

・・・でも、ちょっと待って下さい。ここで疑問に思う方もいらっしゃると思います。

「気仙沼線って、本当にこの法律の支援対象になるのでしょうか?」     
    
                             
だって、2年前にBRTで本復旧するって決めましたもんね。じゃあ意味ないじゃん!!って思う方が、多数ではないでしょうか?

今回はその疑問について事実を提示しながら、
気仙沼線は支援対象になる理由を解説したいです。 
皆様と共に、考えていければ幸いに思っております。どうぞよろしくお願い致します。

まず始めに抑えておきたいのが、「鉄道軌道整備法って何なの?」って事です。
これはここで私が説明するより、よそのサイトを観に行かれた方がいいかもしれません・・・。

まあでも一言で言うと、「鉄道事業に対して、鉄道の整備を図る事を目的とした法律」だそうです。この言い方はウィキペリア情報ですが、国会に提出された条文を読む限りではその解釈で正しいと思われます。

この現行の法律に依ると、「鉄道軌道の整備に当たっては、黒字企業(JR東日本)へは国費を充てなくて良い」という事でした。だから気仙沼線は結局、国費が出ないまま今の通りとなった訳です。

この度の改正はそれを改め、「鉄道軌道の整備に当たっては、黒字企業(JR東日本)が有する赤字路線へは国費を充てても良い」という事になりました。
だから震災当時にこの改正案が現行の法律だったら、山田線も大船渡線も気仙沼線も石巻線も、もうほとんど、対象になっていた事でしょう。

なお条文によると、この法案は2016年(H28年)4月1日以降に災害復旧事業を開始した鉄道に対して、施行するそうです。ですので2011年に被災した山田線・只見線について、前者は2015年に鉄路復旧事業が始まりましたから対象にはなりません。後者はこの前、鉄路復旧事業が始まりましたから対象となります。

・・・?、あれ、じゃあ気仙沼線は?
復旧事業って、それ以前に始まってたような・・・。
っていうか、BRT本復旧を取り決めたのは2016年の3月だったような・・・。

皆さん、ここからが大事ですよ!!


ポイントは、BRTは鉄道なのか、バスなのか。ココなんです!!




名古屋に、ガイドウェイバス(ゆとりーとライン)というのがあると聞きました。あの、まぁその・・・、東京から西って行かないのでネット情報のみなんですが。

それによると、これは「バスなんですけど鉄道って区分」らしいんです。途中までは一般道を走るバスなんですけど、大曽根駅~小幡緑地駅のみ専用軌道区間を走行するそうなんです。専用軌道区間はバスが軌道上を走行するのでハンドル操作が無く、アクセルとブレーキのみを運転手は操作するとか。すごく画期的ですね。死ぬ前に一度、視察へ行ってみたいです。
軌道上を走る。故に、これは鉄道という区分になるとの事です。

気仙沼線のBRTって、どうでしたっけ?
軌道区間だった場所をバス専用道にして、バスを普通に走行させていたような・・・

      



ここに面白い事が書いてありました。
ちょっと開いてみて下さい⇒JR東日本のBRTの取り扱いについて

ご覧になりましたでしょうか。
BRTって、「一般乗合旅客自動車運送事業」って言うんですよ!!



一般乗合旅客自動車運送事業ってなんでしょう?


国土交通省地方運輸局のHP
によると・・

これって、路線バスなんですよ!!

という事は・・・

BRT(バス高速輸送システム)は鉄道ではなくて、バスって事になるんですよ!!!!



確かにJRのBRTの総則に、自動車線って書いてあるんですよ。鉄道線とは区分けして、書いてあるんですよね。


鉄道軌道整備法って、何でしたっけ?
「鉄道事業に対して、鉄道の整備を図る事を目的とした法律」でしたよね。

BRTって、バスですよね。鉄道という区分ではなさそうですよね?

それでは皆様に質問なんですが・・・。


「BRTというバス事業に対しての復旧に、鉄道軌道整備法は適応されるのでしょうか?」



JRは今日まで、現在進行形にてBRTの専用道を整備しています。鉄道だった部分を、バス専用道にして復旧工事を進めています。鉄道事業としての軌道区間の復旧工事は、震災発生から今日まで1日たりとも行っていません。今やっているのは、軌道区間をBRT専用道に付け替えしてる工事です。これはBRTの工事であって、鉄道復旧の為の工事ではありません。

そうなるとこれまでの復旧事業は、鉄道軌道整備法の適応対象へは当たらないんです!!


BRTの本復旧は確かに2016年3月に決まりました。ですが・・・
「鉄道復旧工事はまだしてないのですから、気仙沼線は今回の改正の支援対象なる!!」と私は考えるに至れた訳なんです。


書店で売ってる最新版地図を見れば分かる通り、気仙沼線は鉄道路線として扱われています。そこに柳津~気仙沼間、運休中と示されているはずです。鉄道としては運休してるって、わざわざ書いてあるんですよ、BRTが本復旧扱いの今でも!!JRにはまだ、気仙沼線を鉄道扱いして頂いているって事です。

・・・鉄道として廃止しようと思えば、強引ではあるものの踏み切れる状況なのに。

私みたいなBRT否定の鉄路復旧派が「鉄道として廃止もしてないし、運休理由は甚大な災害。復旧工事もあれはBRTの工事であって、鉄路復旧の工事ではない。故に今回の鉄道軌道整備法改正により国費が気仙沼線に下りる見込みになったから、直ちに鉄路復旧しろ!!」と言い張れてしまうのが、この章の結論なのです。


最近、思う事があります。
BRTって最初、復旧費が安くなるって話しからスタートしましたよね。
気仙沼線のBRT専用道の工事、見た事ありますか?

めちゃくちゃ金を賭けてるんですよ、不思議な位に。

「えっ、気仙沼線って鉄路復旧決まったのかな?」って勘違いする位に。

戦後に開通した気仙沼線は鉄道公団張りの、高規格路線でした。
特に本吉~陸前小泉~蔵内間の陸橋とか、清水浜の陸橋とか立派なもんでした。
その壊滅した橋を、全部BRT専用道として復旧工事を進めているんですよ。
もう公団に負けない鉄道橋を、BRTの為に造っているんです。
橋の建設とか、費用問題で揉める定番なのにですよ・・・
現在のBRTの採算と費用効果で考えれば、有り得ない位の投資でBRT復旧工事が進められているんですよね。

あまり詳しくは書けませんけど・・・、
「あっ、もしかしてJRは気仙沼線を直す気があるのかもしれない」
私はそう思ってしまったんですね。

やろうと思えば、いくらでも気仙沼線廃止プレー、放置プレーが出来る立場なのに。
鉄道としての気仙沼線を廃止、又はBRTの運行に届出を変更、乃至はBRTを鉄道と言い張る。どれか一つでもされていたら、今日の理論は通りませんでした。

BRTの専用道も、仮に鉄道に戻すとしたらすぐ出来るんですよ。専用道にしてなかったら、7年間放置された草ボウボウの荒れた土地を整備する処からスタートですもんね。倍以上かかりますよ。

まあだからこそ、某区間を放置プレーしている大船渡線は直したくないんだなぁという印象を受けちゃうんですけどね。

ただ気仙沼線については、もっとJRを信じてあげるべきだったかもしれません。
もちろん私は法律家ではありませんから、今日の理論は間違ってる可能性があります。
ですがもし適応の対象ならば、JRのさりげない気遣いへ国と自治体には目を向けて頂いて、一体となって鉄路復旧に向けた道を歩み始めて欲しい。それを切に願いながら、この章を終えたいと思います。

また動きがありましたら、更新します。よろしくお願い致します。



なおけせん様よりブログ更新中に、今回コメントを頂きました。
私がこの記事でまだ、気仙沼線が支援対象になる解説をする前に頂戴した内容となります。この記事と一緒に合わせて拝読頂ければ、幸いです。

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