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気仙沼線の必要性を訴えるブログ

このブログは廃線の可能性が示唆されている気仙沼線について、鉄路による復旧を心の底から願っているある利用者が、存続を訴えていくブログです。 利用者として見てきた私の視点から、気仙沼線の必要性について記していきます。 少しでも鉄路による復旧の理解に繋がれば、嬉しく思います。 管理者

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特別編⑥-2:気仙沼線復旧団体、南三陸町にて設立                                   ~南三陸町への手紙~

この手紙は平成27年6月の「第一回気仙沼線沿線自治体首長会議」の結果を受けて、作成に至ったものです。


南三陸町役場御中

 突然のお便り、失礼致します。気仙沼線を生活路線として、利用している者です。幼き日より今日に至るまで、ずっと同地域と関わりながら生きて参りました。この度は貴町で現在議論が為されている「JR気仙沼線の今後の在り方について」どうしても申し上げたい義があり、非礼ながらもこのような形で封書を郵送させて頂きました。町外の人間が貴町の行政に口を挟む旨を、どうかお許しください。しかしながら最後までお読み頂ければ、幸いに思っている所存であります。どうぞよろしくお願い致します。

 先頃東京にて気仙沼線の今後について話し合う「気仙沼線沿線自治体首長会議」が開かれていた事を、報道で知りました。その際に貴町の佐藤町長が復旧の在り方について、「鉄路への思いは強いものの、BRTのメリットは勘案する必要がある」とされた上で、「本数が増え、高校生にはBRTの方が使い勝手がいい」とお話されている旨をお聞きさせて頂きました。南三陸町では鉄路による復旧か、それともBRTの継続か、どちらが将来の町の復興に於いて良いかについて、とても迷っている様子を受け取った次第でありました。同線の今後の在り方については、必ず貴町の将来を左右する重要な部分となっていくに相違ないと私は考えております。そのような大切な事を勘案されていく中で、少しでもこの封書が貴町の判断材料の一つとしてお役に立てれば嬉しく思っております。

 私は震災前から今日に至るまで、ずっと気仙沼線を利用してきました。故に同線の人の流れを、今日まで見てきた次第です。その様子から鑑みて、私は気仙沼線に関しては『全線鉄路復旧の方が、貴町の将来にとって有益となるのではないか』と考えております。それは「復興の象徴」という議論や「気仙沼線の歴史的価値」という判断からではなく、『同線の人の流れ』から鑑みた私の考察です。

 貴町が鉄路かBRTかを判断するに当たって、最も考慮するに当たっているのが「BRTの運転本数の多さ」にあると思っております。鉄道時代よりも2倍以上増えた本数の多さは、無視出来ないものだと考えております。今回別紙に震災前の気仙沼線の時刻表(別紙1)と震災後の気仙沼線の時刻表(別紙2)を送らせて頂きましたが、その差は明白です。

震災前気仙沼線時刻表
震災後気仙沼線時刻表
リンク切れでしたら、すみません。


 特に貴町は隣接する気仙沼市とは縁が深く、車が運転出来ない高校生や年輩者が同市へ向かう場合、鉄道より利便性がある事は疑いないと思います。鉄道に戻せば本数が現行より削減される事は火を見るより明らかであり、まず間違いないはずです。
 しかしながら、ここでよくよくお考え頂きたいのです。それは「現在のBRTの運転本数が、恒久的にそのままであるのか」という点です。BRTとはバスです。町営バスを運転されている貴町もご存知の通り、バスとは増便も簡単であるならば、減便も簡単であるのです。

 別紙3として、JR東日本の輸送人員表を送付させて頂きました。
JRの輸送人員表
これもリンク切れでしたら、すみません。 

 2013年度の柳津~気仙沼間のBRT輸送人員は268人でした。現在志津川~気仙沼は平日上下39本のBRTが運転されておりますが、これは即ち1便当たりのBRTに対して平均で6~7人しか乗車されていない計算となっています。朝のBRTは高校生の通学ラッシュによって混雑致しますから、それを鑑みれば日中のBRTが如何に著しく利用率が低いかがお分かり頂けると思います。このような状態がずっと続いていくならば、今後に於いてJRは現在の運転本数を維持していくでしょうか。佐藤町長が首長会議で述べた通り、貴町に於ける主力交通手段は車であります。となればBRTの需要を掘り起こす事は、正直、とても難しいと考えられます。もしBRTを貴町が本復旧として選ばれるとするならば、この現状が変わらない限り10年・20年後には、BRTの本数は鉄道時代と同数に削減されてしまう事が目に見えております。将来、鉄道よりも時間がかかり、乗り心地も悪く、遅延可能性も高いBRTが来るのを、鉄道時代と同じように不動の沢駅で2時間も待ち続ける貴町の高校生達の姿を、私は見たくはありません。こういった可能性を踏まえて頂いた上で、本当にBRT継続が貴町のためになるのかどうかを勘案して頂きたいのです。確かに現状だけ見れば利用者にとってはBRTのメリットは大きいのですが、50年・100年後も残り続ける気仙沼線に於いてそれが真に正しい姿なのかどうなのかを思案して頂きたいのです。

 鉄道はBRTと違い、速達性と定時性、そして大量輸送に優れた乗り物でした。現在のBRT気仙沼線を見る限り、南三陸町に於ける一番の利用者はやはり高校生であると思います。町内には志津川高校がありますが、町外の高校へ通われる方もいらっしゃると思います。特に不動の沢駅側の気仙沼高校へ通う生徒さん方は多いのではないでしょうか。もし志津川からそこへ通う場合、震災前の時刻表(別紙1)では志津川駅6:32か7:06発の気仙沼行きに乗車し、不動の沢まで51分~1時間かけて通っていたかと思います。この列車はそれぞれ4~3両編成の運転であったため志津川からは確実に座れ、歌津までなら少ないながらも空席があった列車ではなかったでしょうか。一方、現在の気仙沼線(別紙2)で気仙沼高校へ通うとするならば、志津川駅6:31、6:43、6:50が候補だと思います。所要時間は1時間21分~1時間29分と、鉄道より21分~29分も遅くなっております。加えて列車と違い着席数が少ない事から、多くの生徒さん方が1時間以上も立ち席となるのが現状ではないでしょうか。鉄道の復旧が貴町の高校生方の通学負担を大きく軽減出来る旨が、推察出来るかと思います。こういった細かなメリットにも、是非注目して頂きたいのです。貴町でBRTの運転本数削減に少しでも危機感が感じられましたら、是非とも貴町に住む未来の高校生方のためにも鉄路復旧の可能性に力を注いで頂きたいのです。

 そしてもう一つ私が危惧しているのが、貴町にある志津川高校の存続であります。過疎化と少子化が進む中で、生徒数が減少傾向にあるかと存じます。同校が永続的に存続する手助けとしても、気仙沼線の鉄路復旧が望ましいと私は考えております。
 志津川高校は言うまでもなく、南三陸町だけの学校ではありません。気仙沼市の高校生が通う事も出来ます。同校に対し気仙沼に住む中学生方に入校を誘致していく事が、志津川高校の存続に繋がると考察致しております。
 しかしながら気仙沼の生徒さん方から見た場合、本吉響高校とどちらを志望するかで悩まれるのが現状かと思われます。もちろん様々な面で響高校との差別化を計り、志津川高校の魅力を引き出していく事も重要かと存じます。しかしながらその志望判断を生徒さんが為さる場合に、重要な判断材料の一つとなってくるのが、交通機関の在り方ではないでしょうか。今のBRTの本数が永続的である旨をJRが確約するならば、まだこの先も気仙沼の生徒さん方を取り込める余地はあると思います。しかしながらJRが現状の本数維持を恒久的に確約する事こそ、鉄路復旧以上に困難な事柄だと推察致します。そして本数が削減されたならば、先に述べた通りBRTのメリットはほとんど失われてしまいます。残念な事にそれが現実となってしまったら、果たして生徒さん方はBRTというバスと鉄道とで、一体どちらの方が志津川高校に通いやすい交通手段であると判断を下されるでしょうか。BRTと列車では、気仙沼の生徒さん方は一体、どちらが志津川に対して近いというイメージを持たれるのでしょうか。先に挙げた鉄路のメリットの観点からも、これが何を示すかのかが、ご判断頂けるのではないかと考えております。

 以上の点が、私が「南三陸町に於いては全線鉄路復旧の方が、貴町の将来にとって有益となるのではないか」と考える所以であります。要約させて頂くとするならば、
① BRTは本数削減が容易である事
② 現状の利用者数が続くようならば、将来本数削減が行われる可能性が非常に高い事
③ ②によってBRTのメリットが失われた時、「鉄道が良かったと悔恨を残す日が来るかも しれないという事」
の3点をお伝えさせて頂きたかったのです。

 しかしながら鉄道復旧への道が険しいのも、また事実であります。先の会議にて国からは気仙沼線の鉄路復旧に対する支援が否定的な旨が表明され、とても残念でありました。ですがまだ可能性が潰えた訳ではない事も、揺るぎ無い事実でございます。
 これは先日関係機関にもメールさせて頂いたのですが、例えば「上下分離式による鉄路復旧は可能ではあるまいか」という趣旨の内容を送信させて頂きました。上下分離式とは「上(運行)をJRが担い、下(線路・路盤)は自治体が保有・管理する」という方式です。JRは300億の負担は表明しております。問題は400億の移設費用をどのように捻出するかです。移設部分を全て上下分離式とすれば、路盤は自治体の管理下に置かれます。そうなればこの事業は『まちづくりの一環』となりますから、「復興交付金の対象になるのではあるまいか」と思案した次第です。もちろん仮にそうなれば、貴町は鉄道復旧に対して多少の負担を強いられる事になるだろうと思います。何れにしろ現状の国のスタンスでは鉄路復旧の決断は、貴町の財政に負担を掛ける形となってしまう事は明白です。故に私はBRTの今後の見通しを提示させて頂いた上で、貴町にとって本当に気仙沼線がこのままで良いのかどうかを勘案して頂きたく思い、封書をお出しした次第です。

 最後にこれは気仙沼線利用者としての発言なのですが、気仙沼線は鉄路で復旧する価値が非常に高い路線であると私は確信しています。その理由は震災前の気仙沼線の利用者数から、お分かり頂けるかと思います。震災前に約850人も居た利用者ですが、震災後には265人になりました。震災があったとは言え、いくら何でもこの減少の仕方は異常に感じます。しかしながら利用者である私からすれば、それは当然の事でした。何故なら気仙沼線の利用者の大半は、気仙沼地域から仙台へのアクセス手段として同線を利用していたからです。震災前、同区間は快速列車で2時間、普通列車でも3時間以内で行き来できました。現在のBRTという長距離移動に向かない乗り物に乗り、4時間もかけて仙台へ向かう者は少数です。故に私はこの事実を聞いた時には驚きはなく、必然的な事だと思いました。
 そしてこの事実こそが、多くの人が気仙沼線の鉄路復旧を必要としている旨を証明するものだと私は感じております。震災後、同区間を結んでいる高速バスの利用者数は増加し、繁忙期には積み残しが出ている状態です。確かに現在建設中の三陸道が全通すれば同区間は車でも2時間で行けると思われますが、石巻・松島・仙台で頻発する渋滞から、定時性を望む事は難しい事だと思います。宮城県である気仙沼市の仙台志向は、震災前の快速列車の乗車率から明らかでした。その気仙沼の視点で見た場合、仙台まで遅延なく2時間以内で行ける乗り物は、今も昔もそしてこれからも、この気仙沼線しか存在しないのです。気仙沼市が一歩抜きん出て鉄路復旧を求めている背景には、ここにあると私は考察致しております。

 故に私はそういった現状を知っているからこそ、気仙沼線は鉄道復旧しても廃止になる事はまず無いと考えています。仙台と気仙沼が定時性に優れた速達性ある列車で結ばれている限り、需要を掘り起こす事はBRTよりも容易であるからです。同線は地域輸送のみならず長距離輸送も主体として、その役割を担ってきました。これが気仙沼線が持つ特性であり、同線の強みでもあります。赤字路線に財を投げ打つ事に懐疑的な意見はよく耳にしますが私はこの事実を知っているからこそ、同路線については費用を賭けてでも復旧させる意味がある鉄道だと強く思っています。

 そしてこの強みは必ず、貴町の利益にも成り得るはずです。南三陸町といったら、何と言っても観光資源の宝庫です。気仙沼まで線路で繋がれば、JRも仙台から直接、志津川・歌津・気仙沼方面へと観光列車を運転しやすくなります。貴町がそこでJRと連携したツアーでも組めば、その効果は現在の観光BRTとは比べ物にならない程の恩恵をもたらす事は間違いありません。

 加えてもう一点だけ、JR輸送人員一覧の陸羽東線と釜石線をご覧下さい。ここで注目して頂きたいのが、両線に於ける2013年度の輸送人員と旅客運輸収入です。見てお分かりの通り、陸羽東線の方が輸送人員が多いのに、釜石線の方が旅客運輸収入が多くなっております。この理由は陸羽東線は小牛田~古川間の短距離利用者が多く、かつ定期券の利用者が多いためと私は推察しています。逆に釜石線は盛岡・新花巻から遠野・釜石間の長距離輸送を担っており、かつ乗車券で乗車する観光客も多いためと考察しています。震災前の気仙沼線は、明らかに後者でありました。今の気仙沼線の旅客運輸収入は悲惨なものですが、震災前の旅客運輸収入は恐らく釜石線と同等であったと私は見ています。赤字路線であった事は否めませんが、決してJRにとっては積極的に廃止したい程の赤字路線でもなかったと言えるのではないでしょうか。その答えは、昨年2月にJR側が発言した「赤字路線だが守りたい」という言葉にも見え隠れしていると私は信じております。

 国は復興創生期間というものを表明しておりますが、まだまだ貴町も含めあらゆる被災自治体は嵩上げの創生すら完了していないのが現状でございます。そのような厳しい中で、町外の者が鉄路復旧に向けた提言を長々と申し上げてしまい、大変失礼致しました。私個人としてはJR主体による鉄路復旧を希望しておりますが、まずは貴町の今後のまちづくりに合わせて、財政状況等も加味しがら勘案されていくのが肝要かと存じております。この封書が何らかの形で今後の貴町の復興に寄与するならば、それほど幸せな事はございません。今後とも微力ながら、応援させて頂ければ嬉しく思っております。

どうも有難うございました。
                               平成27年6月12日
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